第4話 枯渇感が生み出す音楽のエネルギー

 ビートボクサーAFRAさんとボイパのKAZZさんの夢の対談② 

 

日本ではTV番組による「ハモネプ」という土壌があったからこそ、ビートボクサーAFRAがブレイクできた

 

ア・カペラ(ハモネプ)ブームを国外から観ていたAFRAさんには、どうしてそんなブームが起こっているのか、不思議に映っていたことは事実です。ハモネプが始まったのは2001年で、実はAFRAさんは、前年の2000年には日本人として、初めてアメリカのセントラルパークのサマーステージというイベントでMB2000(BaBa,D.O.A,Emanonなど)の一員としてビートボクサーデビューしていました。 

 

【AFRA】そうそう、だからこのタイミング(2001年頃)で日本へヒューマンビートボックスをもって帰国したら、むちゃくちゃウケるんじゃやないかって思ったんですよ。

※AFRAさんは、リアルタイムではなく、日本の友人が送ってくれるVHSビデオテープでハモネプを観ていた。

 

【AFRA】ビートボックスは、ドラムを買えなかったという背景が大きく影響しています。無ければ、自分でやってしまえという文化ですね。 

 

【河本】まさに渇望から生まれた音楽であり、模倣の連鎖。本物の楽器→本物を模倣をしたビートボックス→ビートボックスを模倣したヒューマンビートボックス→ヒューマンビートボックスを模倣するループステーションという流れ、これってスパイラルを描きながら徐々に発展を続けている気がします。 

 

【KAZZ】ア・カペラにはバーバーショップ音楽というスタイルがあります。これがコンテンポラリー・アカペラのルーツと言われていますね。それ以前は、ゴスペル、宗教音楽という具合にルーツを辿れますね。 

 

【河本】ヒューマンビートボックスは、模倣の文化としてだけで捉えるならば、決して新しい文化だとは言えません。模倣という行為自体は、それ以前でも人間がしていたことですし。 

 

【AFRA】きっと見えない歴史というか、見えてきていない歴史というのがあると思いますよ。 

 

【KAZZ】インドネシアのバリ島へ行ったとき、「ケチャ」の音を録音したんです。どんどんリズムに陶酔していく様子を見て、これがリズムの魅力だと感じました。 

  

【KAZZ】僕の場合、ボイパの魅力が本当に分かる前(と言うより、ボイパというコトバが日本で一般化する前)にいきなりプロ活動を始めたので、ライブなんかをしていると、自分のリズムにどんどん飽きてきてしまうんですよ。それが、何かを得なければいけないという枯渇感へと繋がっていったんです。

 

【KAZZ】ビートボクサーにも、自分の音に対する枯渇感ってありますか? 

【AFRA】めちゃめちゃあるわ~! (激しく同意)

 

【KAZZ】マイケル・ジャクソンのデモテープなんかは、自分でリズムを口ずさんで、それこそヒューマンビートボックスで作っていたそうですよね。イメージを伝えるのに、自分の口で伝えたらしいですね。 

 

【AFRA】一番早い(手軽な)楽器だからね。思いついたら、自分の口でやってしまえばいいんだから(笑

  

【AFRA】娯楽が無かったからこそ育った文化だと思いますね。

 

 

【河本】ところで、AFRAさんもKAZZさんも同じ関西のご出身ですよね。 

 

【AFRA】阪神淡路大震災を経験しているという点では、同じ時代に生きたという共感があります。共通の師匠みたいなDJもいますし。 

 

【KAZZ】人には正常性バイアス(自分だけは大丈夫だという感覚)があります。近年では東日本大震災があったこともあり、阪神淡路大震災の防災意識は遠のいていると思います、本当に。南海トラフは30年以内に80%の確率で来ると言われています。それなのに、まだ防災意識が育っているとは言い切れません。音楽は、人の気持ちを一緒にするという力があります。その気持ちが一緒になったときに、防災の話しをするとすーっと入っていくんです。僕は今ギターとボイパでBloom Worksというユニットで「防災と音楽」という取組をしているんですが、実は、防災の話はほんの少しだけ。音楽の中にちょっとだけかませるんです。 

 

【KAZZ】阪神淡路大震災の復興屋台村で活動しているときも、ボイパの身軽さを感じましたよ。ドラムセットのような大きな音でもないし、大がかりな仕掛けの用意も必要ない。肉声が届くちょうどよい距離感で音楽をできるんです。 

 

【AFRA】ヒューマンビートボックスも、今のような多様な娯楽がなかった時代だったから、生まれたんだと思いますよ。

 

(第5話に続く)

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※2020年1月22日(水)AFRAさんがオススメの『俺のハンバーグ・渡辺』(渋谷)にて。

◇おことわり

 この文章は公費(科研費)による調査研究を目的とした記録ではありません。飲食費も全て自費負担しており、公費は一切使用しておりません。