答えではなく、質問の質を高めることの大切さ

 おそらく、これまでの学校教育がそうだったからなのでしょう。学生は、「答えを探すこと」には慣れているのですが、「質問を作り出すこと」には、全く慣れていません。

 

 『子どもの音楽(基礎)』の授業の最終回では、学生がグループワークを通して、これまでの授業内容の中から質問を考え、その質問を全体化して授業内容を振り返るという取り組みをしています。

 ここで、最終回の授業での定番の“河本節”が登場します。

 

 「一人の質問、みんなの声」

 

 短いフレーズなので、卒業生に訊いても覚えていてくれることが多く、どうやら2009年頃から使い始めていたようです。まだこの頃は、まだ質問の質を高めることの大切さについては、私自身はそれほど意識はしていませんでした。

 しかし今では、教員が「ここは大切だ〜」と熱弁を振るうだけでなく、学生からの質問を取り上げて授業を構築していく方が授業の到達目標の達成度が高いと感じています。

 

 実は・・・・、

 私の授業評価(5点満点)は、7年ほど前まで、

 「授業はわかりやすいか:4点」

 「熱意があるか:5点」

 「質問はしやすいか:2点」

 という有りさまだったのです。

 つまり・・・・、典型的な一方通行の授業、授業内容はわかっても満足度は決して高くないという授業だったのです。

 

 簡単に言うと、

 「わかるけど、楽しくない」

 

 大学の授業に楽しさなんて必要か、という声も聞こえてきそうですが、ここで言う楽しさとは、授業とは関係のない雑談やマナー無視の自由な環境という意味ではありません。

純粋に授業として楽しいという意味です。

 

 どんな工夫をしたら、学生が「この授業は楽しくて、ためになる」と感じてくれるのか。

考えた末に辿り着いた方法の一つが、学生の声を取り上げるという、いたって地味な方法でした。ただし、単に取り上げるだけでは、言いたい放題の陳情と変わりありません。そこで、質問の質を高める工夫をすることにしたのです。

 

【最終回の質問ルール】

1.自分が抱いている疑問を他の学生にわかるように伝えます。

 →自分が抱いている疑問や理解不十分な内容を、他の学生と共有できる質問に昇華させることで、自分たちの学習の課題が明確化されることが期待できます。

2.グループの中で今日この授業ですべき質問を整理します。

 →質問に優先順位が付けられることで、本質的な質問が出されることが期待できます。

3.グループの代表が、整理された質問を学生全体に伝わるように発言し、学生同士で意見交換します。

 →他人と共有できる質問を、つぶやきから対話にすることで、学びのコミュニティが活性化され、学習への学生の積極的な参加が期待できます。

 

 さあ、いよいよ質問による最終回の授業の始まりです。

実は、この取り組み、質問の内容を分析することで、教員は自分の授業が的確に行われていたどうかの判断材料を得ることができることもわかりました。

 

 どんな質問が出てきたかは、4展開の授業すべてが終了したあとにご紹介します。学科の先生たちを唸らせる質問もあり、私も勉強になりました。次回をお楽しみに!