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◆日本におけるヒューマンビートボックスの概念形成(2)ーYouTubeの普及による変化と今後の展望ー Conceptualization of Humanbeatbox in Japan(2): Chages in the concept from the spread of YouTube and future prospects (音楽表現学 vol.19 2021)※著作権は日本音楽表現学会に帰属します。※査読付

 

◇要旨:日本人ビートボクサー(ヒューマンビートボックスの演奏家)AFRA(藤岡章)がアメリカから帰国し、日本では2004年に国内初のヒューマンビートボックスの演奏家が誕生した。時を同じくして各家庭へのパーソナルコンピュータやインターネット網が普及し、YouTubeに代表される動画投稿サイトの出現や、ひとり1台がスマートフォンを持つなどのIT環境が急速に発展した。ヒューマンビートボックスはこの変化を受けて新たな動向が見られる。

本稿ではこの変化が及ぼしたヒューマンビートボックスの概念形成への影響を把握するために、AFRAに続く日本を代表するビートボクサーやボイパの奏者(指導者)4名へ聞き取り調査を実施した。その結果、ストリート文化という現実空間に存在していたヒューマンビートボックスは、YouTubeの出現によってインターネットという仮想空間の中のみで技術が習得され演奏を楽しみ、それが視聴されるという側面ももつ音楽表現に変化していることがわかった。そして、このような変化は、これまでの音楽表現の指導者観をも変えていく可能性があり、その変化に応える新時代の指導者の出現が予見されることなどが見いだされた。

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【ページ順修正】日本における「ヒューマンビートボックス」の概念形成(2)
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◆日本におけるヒューマンビートボックスの概念形成ー世界的な潮流と日本人ビートボクサー“Afra”との関わりからー Conceptualization of Humanbeatbox in Japan:The global trend and relationship with a Japanese beatboxer"Afra" (音楽表現学 vol.17 2019)※著作権は日本音楽表現学会に帰属します。※査読付

 

◇要旨:人間の音声を駆使した”ヒューマンビートボックス”という新たな音楽表現は日進月歩の発展をみせており、海外では愛好者のコミュニティや研究者らの間で、活発な議論が展開されている。一方、日本では技術面への関心は高いものの、概念形成に関する議論は不足しており、その拠り所となる日本語の資料が必要であった。

 そこで、本稿は、世界最大の愛好者コミュニティの様々な論考や世界初の解説書などが示す内容に、国内外の”ビートボクサー”と呼ばれる演奏者らへの聞き取り調査の結果を加え、ヒューマンビートボックスの歴史的背景や音楽表現としての様々な特徴や可能性を整理した。その結果、日本におけるヒューマンビートボックスの捉え方と世界的な流れにはずれがあったことや、ビートボクサーAfra(本名:藤岡章)が世界と日本との架け橋となり、日本におけるこの音楽表現の発展に大きく貢献したことなどが明らかとなった。

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◇論文ダウンロードリンク J-Stage

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmes/17/0/17_33/_article/-char/ja


日本語歌唱を語る観点についての一考察その2〜林光のオペラ『あまんじゃくとうりこひめ』に観る記譜上の工夫と歌われる日本語〜 (札幌国際大学紀要 第49号 2018)

 

◇要旨:日本語歌唱については、ジャンルを越えた唯一無二のあるべき姿が存在するわけではなく、各ジャンルの作曲家や演奏家、あるいはそのジャンルを鑑賞する側の感性の違いによって、求められる姿が異なってくる。したがって、「日本語歌唱はこうあるべきである」という言い切り型で議論し続けることは、それぞれの歌手や教育者らの経験に基づく強い思いをぶつけ合うということだけに終わってしまうことが懸念される。そこで、本稿では、2007年に『日本語歌唱を語る観点についての考察〜母音の感覚の検討を通して〜』(音楽表現学 vol.5 2007)で示した、日本語歌唱の観点提示型の議論をさらに深化させ、新たな観点として、作曲家の林光(1931-2012)のオペラを基に、〈記譜上の工夫と歌われる日本語〉という観点を提示することにした。

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日本語歌唱を語る観点その2(林光作品).pdf
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◆オノマトペを用いた歌唱指導の意義に関する一考察 (札幌国際大学紀要 第42号 2011)

 

◇要旨:オノマトペを使った指導例は、スポーツの分野では先行研究があり、「スポーツオノマトペ」と呼ばれている。この知見を歌唱指導に援用し、オノマトペが音楽のイメージを直感的に伝えたり、音楽の諸要素を包括的に伝えたりするツールとして有効かどうかを明らかにし、オノマトペを歌唱指導で用いる意義について述べた。

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オノマトペを用いた歌唱指導の意義に関する一考察.pdf
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◆音楽表現の新たな素材としての模倣音の探究〜非言語音による直接的模倣音のための発音器官の使い方〜(音楽表現学 vol.7 2009)※査読付

 

◇要旨:ヒューマンビートボックスあるいは、ヴォーカルパーカッションと呼ばれる人たちが演奏する非言語音による「直接的模倣音」を含む音楽は、すでに一つの音楽ジャンルを形成していると言えよう。本論は、音楽表現の新たな素材としての可能性を秘めていながら、これまで殆ど研究対象となることが無かった、非言語音による「直接的模倣音」を調査・採取し、音響的特徴を分析した結果、「直接的模倣音」は「ノイズ音」「母音性の喪失」「特有の奏法」という三つの構成要素によって形成されているという結論を得た。この三つの構成要素に対応する発音器官の使い方を探り、記述することを通して、特定ジャンルの技法であった非言語音による「直接的模倣音」の発音法を一般的な演奏技法として捉え直し、非言語音による「直接的模倣音」を音楽表現の新たな素材として位置づけた。

 

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音楽表現の新たな素材としての模倣音の探求ー非言語音による直接的模倣音のための発声
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◆日本語歌唱を語る観点についての一考察〜母音の感覚の検討を通して〜(音楽表現学 vol.5 2007)※査読付

 

◇要旨:管楽器の教則本の冒頭には、必ずロングトーンのトレーニングが設定されている。ロングトーンがその楽器で目指す音色を創り、安定した響きを獲得するために有効だと考えられているからである。また、実際の演奏の中では「歌うように演奏しなさい」という例えが使われることも多い。それだけ歌うことは音楽表現の基礎を成す要素を含んでいるからである。一方、歌声は楽音としての音を届けることと、言葉としての意味やニュアンスを伝えることの両面を併せ持っている。しかし、日本語歌唱の歌声づくりに関する研究は決して十分とは言えない状況にある。本稿では、その原因は日本語歌唱を語るための観点が共通基盤に立っていないからではないかと考えた。そして、共通する観点として母音の感覚に着目することにした。本稿は日本語歌唱を語るための観点に関する試論である。

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日本語歌唱を語る観点についての一考察ー母音の感覚の検討を通してー(音楽表現学vo
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