【第13回】子どもから大人まで様々に楽しめるヴォイパ、ビートボックスの可能性

音のインスタレーション!サンプラーを片手に外へ飛び出そう!

「今考えました」という“すらぷるため”さんのアイディアは面白いです。1人に1台タブレット・・・じゃなくて、1人に1台サンプラーです。その音を集めて、キックドラムの4ビートを鳴らしている中で、各自が集めてきた環境音を鳴らしてみるとどうなるかという発想を語り始めました。まさに、音によるインスタレーション。一体どんな音の世界が出来上がるのでしょう。想像するだけでワクワクします。

 

奥村さんからは赤ちゃんが楽しむビートボックス話が登場!

 奥村さんのお子さんが小さい頃に、奥村さん自身がヴォイパをしているという貴重な記録映像を見せてくださいました。生後6ヶ月ではまだジーッと聴いているだけなのですが、口元に目線が言っていることがわかります。音楽や言語の発達心理学的にも、「目で聴く」という発達段階なので、この映像はそれを裏付ける映像です。にしても・・・その音源が奥村さんというのはナント贅沢なことなのでしょう・・・。これ、DVDにして販売しましょうか(笑

 次に、奥村さんは1歳6ヶ月の時の映像を見せてくださいました。この時は、奥村さんのヴォイパを模倣するお子さんの様子が記録されています。1歳半でヴォイパですよ!!!!
できるんですよ〜ヴォイパも言葉も同じ口から発せられる音ですから、「目で聴く」ということができれば、かなり正確に模倣できるのです。ビートの回数、音色、もう立派なヴォイパ?ビートボクサー?、んーハイブリッドヴォーカルパーカッション(笑 呼び方はともかく、模倣をすること自体が楽しいという発達段階で、言語以外の音を口から発することが「音遊び」としても、一種のコミュニケーションとしても成立しています。

 

利き喉って?

 そこへ“すらぷるため”さんが絡んできます。ビートボクサーには「利き手」ならぬ「利き喉」があるというのです。これは、顔の骨格にも影響されるのですが、喉(口腔を含む)の開き方が左右対称ではなく、どちらかに偏っているというのです。これには、奥村さんも「僕は左右対称にしか使わないけれど、ビートボクサーって口を曲げて発音する場合が多いですよね」と返してきます。確かに、Kスネアなどの息を吸って出す音(インワード・ヴォイス)の場合は、口元が歪んでいる場合や舌の位置が横にずれているということはよくあることです。そうやって、様々な音を創り出していくこともビートボクサーの楽しみなのですから。そして、顔の骨格によっても音の向き不向きや得意不得意、特徴が決定づけられるのではないかという話へと発展していきました。

 

そこへ奥村さんの歯形が登場!

 何度奥村さん、変な物を持ち出してきました。ご自身が子どもの頃の歯形があるというのです。読者の皆さんも一度は歯医者さんで歯形を取ってもらったことはあるのではないでしょうか。でも、その歯形って通常は歯科医の先生が保管している物ですよね。それが、ナント奥村さんはご自身がお持ちだったのです!(なんで?)

 発音の善し悪し、舌足らず、そんなその人ならではの発音の特徴が、逆にビートボックスやヴォイパをする上でのインセンティブになるのではないかという話題へと発展していきます。舌足らず(本当は足りないのではなくて長いのですが)だからこそ、出せる音もあるのです。ビートボクサーのDaichiさん、HIKAKINさんも発音には特徴があります。その特徴がビートボックスに無意識に活かされている面もあると私は考えます。聞き手の杉村さんも、自分じゃできないじゃないかと思ってしまうボイパも、自分の発音の特徴を逆に活かす方向へもっていくと面白いのではないかと、語ってくれました。